食料品の消費税を0にするとパン屋さんは困窮します💦
コラム 2025年7月9日 水曜日こんにちは。
香川県高松市 株式会社ダックス会計/吉田貴志税理士事務所の吉田です。
今月20日に投開票が行われる参議院選挙。
すでにいくつかの政党が、「食料品の消費税0」を公約に掲げています。
一見、庶民にやさしい政策に見えますが、実はこれ、とんでもない落とし穴があるのです( ゚Д゚)
現在、食料品の消費税は8%です。(ただし外食は10%です)
消費税抜きで年間1000万円を売り上げるパン屋さんを例にとって説明しましょう。
このパン屋さんの売上と利益は、現在だとこうなります。
売上 1080万円(消費税8%)
材料費 324万円(消費税8%)
給料 300万円(消費税非課税)
家賃や広告費・光熱費など 220万円(消費税10%)
オーブン・冷蔵庫など設備 110万円(消費税10%)
税務署に納める消費税 26万円(80万円-24万円-20万円-10万円)
差引利益 100万円
ところが、「食料品の消費税0」をやってしまうと、同じパン屋さんがこうなるのです。
売上 1000万円(消費税0)
材料費 300万円(消費税0)
給料 300万円(消費税非課税)
家賃や広告費・光熱費など 220万円(消費税10%)
オーブン・冷蔵庫など設備 110万円(消費税10%)
差引利益 70万円
売上も経費も全く同じで、しかも税務署に消費税を納めなくてよくなるのに、利益は30%も減ってしまいます!
なぜこんなことになるかというと、パン屋さんはお客様から消費税をもらえないのに、家賃や広告費、水道光熱費、設備投資には変わらず消費税がかかるからです。
農家のみなさんにもこれと同じことが起こります。
(農薬や肥料、農機具には消費税がかかりますが、農産物を売っても消費税はもらえません)
これを何とかするには、値上げをするか、国が差額を返してあげるしかないのです。
(自動車メーカーなどの輸出業者には、本当に国が差額を還付しています)
いずれにせよ、誰かがその差額を負担しなくてはならないので、物価高騰対策には全くならないでしょう。
消費税減税をやるなら、一律にやるのが一番公平だと私は思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
香川県高松市の税理士・会計事務所
『あなたのまちの税理士さん』
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